FC2ブログ

ここ最近の保守系言論人の動向リスト

見る前にクリックをお願いします!
     ↓   ↓   ↓
人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

ここ最近の保守系言論人の動向を見ていて批評、考察のため、ここ最近はいろいろ考えているのだが
2ちゃんで面白い評価表があったので紹介しておく。

この2ヶ月での言論人株価動向

青木直人…+ + +
ほぼ完璧な分析。自称保守派を冷ややかに見るが、斜に構えるのではなく希望も語る。

西部…+ +
安倍政権発足時の高揚した空気の中、藤井の参与就任で「人質に取られた」と見抜く慧眼。
知識云々より人間洞察力の確かさ。

在特福岡…+ +
他人を一切disらずひたすら打倒安倍に一直線

東谷…+ +
新聞やテレビがいかに「マスゴミ」でもやはりジャーナリズムは必要であることを証明

中野…+ +
師匠ゆずりのニヒルな調子で安倍の正体を看破。西部一派レベル高過ぎ

WJF…+
安倍の新自由主義路線爆走は的中。しかし他の言論人に対するかみつきぶりにはドン引き。
二元論は駄目と言いつつ安倍や意見の異なる相手を全否定してつるし上げる点に危険な匂いを感じる。

青山…―
増税は中韓の陰謀つぶしとか、語る文脈が周囲と違い過ぎて評価不能だが信じる人がいるとは思えない。

三橋…― ―
増税でようやく安倍批判に転じるが、時期遅過ぎ

三輪…― ― ― 
裏切られる度にハードルを下げて必死に安倍を正当化。現実から目を背け続ける姿は滑稽を通り越して哀れ
 
山村…― ― ―
一向に洗脳から覚めず取り巻きガーと責任転嫁して安倍を無理矢理弁護

社長…― ― ― ―
ヤクザなDV男に殴られ蹴られても惚れた弱みでひたすら貢ぎ続ける。
周囲が何を言っても意固地になるだけで破滅へまっしぐら


上念・禿…― ― ― ―
どこまで信じていたかは不明だがカリスマの妄想に乗った結果、底の見えない大暴落

カリスマ…―無限大
主張の支離滅裂ぶりもさることながら、異様なまでの人間性の醜悪さを自ら暴露して市場から永久追放




ワロタwww

言い得て妙ですな。
自分なりに評価してみると、

青木氏は詳しいことも知らないので自分は人物考の批評は避けるが
結構ネットでもその筋の界隈では結構速く安倍批判をしていたので今回の件については見る目があるなと。

西部先生や中野氏、東谷氏も雑誌表現者でも疑念や懸念を抱いていたし
評価はできるが、人物的にはここ最近は不審な点が目立つし精彩に欠ける論がここ最近目を引く。
西部ゼミで安倍本人を招き、3週にわたって持ち上げていたが、あの勢いは今はどこやら・・・。
変わり身が激しい、何とも老獪な老師である。

消費税増税の件も認識が甘い上に以前西部ゼミで東谷と一緒に出演し、増税すれば景気が出るなどと言っていた
事もあり、経済音痴は明白である。
その点三橋は消費税増税の件は明確に警告を発していたが如何せん、安倍支持に凝り固まって反対派の意見を封殺。人物を見る目の無さは事ここに至っては救いようがない馬鹿だ。今回の混乱を招いた張本人の一味。

中野は経済、人物評価の点において今回は完璧と言っていいくらいの立ち回り、先見の明を示した。
国際政治学や軍事関連はからっきしなのであてにはできない。国際政治学や軍事論は伊藤貫氏のほうが自分は説得力があると思っている。

福岡在特会は黙々と自分たちの出来ることをやっているし、disる理由が見当たらない。
頭が下がる思いである。

WJFはたまに見ているが、如何せん宗教を絡めた言論に傾きすぎ。
あくまでも仮説、推敲という類で論を立てていった方がが良いと思う。
靖国がどうとか、伝統がどうとか精神論を絡めた発言が多い。
反原発という点も自分の立場からしたら評価はマイナス。こじつけのような記事もあり確かにドン引きする。

青山繁晴はなんともデマやいい加減な情報が多く、あてにできない人物だとここ最近は
全く賛同できない。単にメタンハイドレート押しでやっぱりビジネスなんだな~と。
かなり胡散臭い人物に・・・、最近は自分も評価を落としている。

三輪、村山、両者とも思考停止、現実逃避状態で評論家言論人失格。
さっさと引退しろと言いたい。いるだけで害悪。
三輪は小泉政権の時も小泉ごり押し郵政選挙も応援していて、まったく進歩なし。
村山も神道が如何の、下らん精神論やオカルト論を展開。毒にも薬にもならないような時間の無駄な持論を展開。
この両名、人間はそう簡単に変わる事なんかできないという典型であろう。

水島に至っては精神障害発症。
常人では理解不能な理論を展開し続けている。
単なる馬鹿ウヨ活動家崩れに成り下がった老害。安倍が総理であれば日本は滅びてもいいんだろう。
いまだに安倍擁護、自民擁護。呆れを通り越して嗤えてくる。

珍念、保守言論をミスリードし、分断した戦犯工作員。
勝間和代と事務所を経営してるとかいう時点で胡散臭かったがはやり予想的中。
新自由主義者共が送り込んだ工作員。此奴と倉山、渡邊、三橋あたりが桜に出るようになって
一気に桜がおかしくなっていた。

カルト倉山、水島以上にアタマがおかしい。まさに狂人の域である。
こういう頭のオカシイ狂人はえてして天才に見えたりするものである。水島のような馬鹿な上に人を見る目がなく
卑怯な屑はこういうのを才能ある鋭才だと思っちゃうんだな~、これがw

この評価欄には出てないが、渡邊哲也も自民が政権を取ったと途端、本性を現した保守
ではなくリベラリスト。ポジショントークとか言ってる時点で信頼性なし。

藤井聡 内閣参与に入ったはいいが安倍の策に嵌り、飼い殺し状態。
国土強靭化は消費税増税の為の口実に使われた。その上、西部一派のうるさい口をふさぐという意味で
人質として使われたと思われる。
結局いいようにあしらわれた。プラグマティズムなどと言っているが私は藤井氏の唱えるプラグマティズムによる国土強靭化や日本人論に明確に反対する。
あれは中身を知らないバカや無知な人間が使えば単なるオポチュニズムになり、レッテル張りの口実になるからだ。



私の言論人評価表(2013年10月時点)

     功績   人物的信用    文章力 思想哲学知識 経済知識 政治知識 軍事知識 国際政治
       ※最高S最低がE6段階評価                          外交知識
          (評価)
青木直人 90点   A         70    -(不明)  -    -    -    -   
西部邁  90    B         60    99     80    85    60    60
在特福岡 80    -(無評価)    -    -     -     -    -    -
東谷暁  75    B         70    50     85    60    25    55
中野剛志 95    C         85    95     95    80    10    30
WJF  65    D         65    -     -    -    -     -
青山繁晴 50    D         60    20     25    10    70    20
三橋貴明 80    論外        80    10     80    20    10    10
三輪和雄 10    E         0     0     1     10    1     0
山村明義 10    E         0     0     0     10    0     0
毒電波水島 -1000 論外       ゴミ過ぎて評価不能
珍念   -10000  論外       ゴミ過ぎて評価不能 
カルト倉山 -∞ 論外外道       キチガイなので無理
渡邊哲也 -1000  論外       ゴミ過ぎて評価不能
藤井聡  30    C         70    85     30     10   5     10
伊藤貫  75    B         90    50     45     50   80     97


人物的信用でSが付く人は居ないな~。
っま、今後の動向で評価は変わるので何とも言えないが。
なんか信長の野望の武将能力値みたいになってきたなw
今後、パラメータは再評価するたびに変えていく予定(今後も続けるかどうかは確証は無いけどw)

なんだか、反日サヨクの佐高信大センセーにも文化言論人100人切りみたいなクズ本があったけど
あんなのとは混同しないようにw

読み終わったらクリックをお願いします!
     ↓   ↓   ↓
人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

スポンサーサイト



保守派の為のTPP考察資料③ 動画 西部邁のゼミナール 「怪談TPP」 編集版 「中野剛志先生のよくわかるTPP解説―日本はTPPで輸出を拡大できっこない!」 とTPP賛成派 参考記事 TPP賛成派の主張についての記事

前回に引き続き、中野剛志先生のTPP解説です。

西部邁 ゼミナール 怪談TPP
http://www.youtube.com/watch?v=JcQnZ4ioiGo&feature=player_embedded


要約された短め動画はこちら↓
中野剛志先生のよくわかるTPP解説―日本はTPPで輸出を拡大できっこない!
http://www.youtube.com/watch?v=RlyluxDfjMo&feature=related


ニコニコ動画版↓
   
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13071556


そして次に、TPP賛成派の反論の記事があったのでをアップします。

現在の雇用に拘る中野剛志氏のTPP論

京大助教中野剛志氏はTPPは日本の利益にならないと主張している急先鋒だ。
(http://www.youtube.com/watch?v=nRmNJpUj5sI)
その根拠は

●全てのTPP参加国から見て日本市場は大きな輸出先である。

●他方日本から見てTPPの参加国の多くは、それ程大きな市場では無い。

●唯一巨大市場のアメリカと相互に関税を全廃しても、アメリカのドル安政策で日本は輸出を増やせない。

よって日本はTPPによって輸出を増加できないばかりか雇用を失い、また農業も廃れ取り返しのつかないことになると結論づけ危惧をしている。
しかし巨額の対外純資産を蓄えいる日本こそ、自由に消費を楽しむ権利があるともいえるし、将来労働力人口の減少が確実なのだから海外に任せた方が生産性が高い物資は輸入に切り替えるべきではないか。
以下に反論を上げてみる。

■そもそも輸入も増やさなければ、円高が進行してますます輸出が困難になる

日本は30年以上にわたって経常黒字を保っている。そのため円高が止まらず輸出のハードルは高くなる一方である。円相場が上昇する度に工場の海外移転やその下請け企業の廃業など、日本に外貨をもたらしたり納税をする「優良な雇用」が危機を迎える。それが過去から現在に至るまで日本の雇用の大きな問題点である。
根本的な解決は経常収支を均衡させること、日本の場合は結局輸入を増やすしかない。

何を輸入するかは政府が決めるのではなく、関税をはじめとした貿易障壁を全廃したうえで個々の経済主体が選択できる権利が認められるべきだし、それが最も効率が良い。

■関税撤廃は小国相手からでも構わない

日本と比べて経済規模の小さい国が相手でも、互いに関税の無い公正な取引環境が構築できるならそうすべきだ。
当初は日本の輸出はそれほど増えないかもしれないが、小国が日本相手に利益を実現していけば、より大きな別の国が貿易障壁の相互撤廃に参加する動機になるだろう。(韓国がFTAを進めている傍らで、日本が焦っているのと同様なことが起こるはずだ)

なおTPPの参加交渉がTPP参加国以外とのFTA交渉を阻害するものではないだろうから、TPP参加国以外の大きな市場を持つ国と自由貿易交渉を同時に進めてもいいではないか。

■いつまでも輸出超過で巨額のドルを保有しているのは危険

中野氏はTPPについてアメリカ側が輸出を増やすこととは日本にとって損と考えているようだ。しかし、そうとばかりも言えない。
日本が経常黒字にもかかわらず円高を阻止しようとして為替介入した結果、約80兆円相当のドル建資産を政府が保有することとなった。既に政府は過去の介入後の円高ドル安によって含み損を抱えているはずだし、恐らく今後もドルの価値は下落の一途でドル建資産の保有は危険を伴う。
そうならば、米国債を買って保持するよりアメリカから必要な物を買った方がいい。それは勿論為替介入より円高を止める有効な手段でもある。

■輸入を増加させて日本の少子高齢化社会を乗り切るべき

中野氏の危惧は雇用の減少だ。TPPが実現したら農業分野に限らず様々な国内の産業が淘汰に遭うに違いない。確かに仕事を失うことによる個人への悪影響は極めて大きい。
ただし日本は今後21世紀半ばまで急速な高齢化を迎える。総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の割合は2050年までに約60%から50%程度に低下すると推定されている。既に現在でも肉体的にキツイ不人気な労働は外国人を日本国内に連れ込んで当たらせているし、その上将来もさらに人手不足の可能性がある。長期的に日本が必要としているのは雇用増加ではないのだ。

慢性的な人手不足なら、儲からない商売や国から補助金を受けている事業から生産される商品は輸入品に取って替わるのが望ましい。ここはやはり自由貿易による競争で企業の淘汰を進めるべきである。

■農業を特別扱いする必要は無い

農産物の関税撤廃によって日本国内の大部分の農家が壊滅的影響を受けることを心配するのは、中野氏だけではない。日本の食料自給率がさらに低下すると、いざというとき食料の確保が難しくなるとか…。
食料の確保が心配になる気持ちは分かるが、もともと全国民に必要なカロリーを用意する能力が無いコメ農家・小麦農家を当てにするより外国から格安の穀物を政府が備蓄してくれた方がずっと安心確実ではないか。
民主党は農家を始めとした第一次産業に総額1.4兆円の戸別所得補償をするとマニフェストに掲げている。毎年それほど配るくらいなら、同額で全国民が一年間飢えを凌ぐ分の穀物を外国から輸入して備蓄できそうだ。毎年続ければ数年分蓄えられる。

■日本はお金持ちな買い手の立場 決して不利ではない

もし中野氏の見方同様アメリカを始めとしたTPP参加表明国が日本への輸出が輸入を上回ると目論んでいるなら、それこそ日本は強気で交渉に向かうことが出来る。日本は彼らが望む雇用や外貨を提供する側なのだから。
TPPが形作られていく過程でそのルールが日本にとって到底受け入れられないものなら、交渉の途中で参加を取りやめ二国間のFTA・EPA交渉に重点を戻してもいい。ルール作りの交渉を始める前から日本は損すると決めてかかる理由はない。
日本は長く貿易立国であり、またTPP参加によって国家主権を放棄するでもない。日本全体では何ら自由貿易を恐れなくていいのだ。



もう一つ、アサヒドットコムのコラムに賛成派のコラムがあったのでアップしておきます。

困るのは「鎖国思想」2011年1月20日0時12分

 日本経済の長い停滞は、高齢化と人口減に原因がある、とする議論が盛んである。

 その主張の根拠となる長期予測によると、2055年には人口は現在の1億2700万人から8900万人にまでに減少する、という。これは今後も、出生率は変化しない。外国人の日本への流入(移住)を認めない、という前提に立っている。とくに後者の考え方は危険である。先進国は、悩みながらも「不幸からの脱出」を願う難民や「より幸福になりたい移民」を受け入れている。彼らの生きようとする努力は社会の活力そのものでもある。

 また人口が減るから経済成長はない、との主張もいかがなものだろう。日本を含め、これまでの世界各国の人口とGDPの推移を一覧してみればよい。人口と経済成長とは連動していない。中国をはじめとした東アジア諸国の毎年10%近い成長が、それぞれの国の人口増と連動しているのだろうか。

 終戦直後の日本の総人口は約7200万人だった。現在はその2倍にも達してないのだ。その間、GDPが何倍になっただろう。あるいはロシアや中東など資源国の経済と人口は連動しているだろうか。経済は気候風土や政治制度あるいは宗教、文化など無数の要素によって成り立っている。

 生産年齢人口の低下予測による悲観論も同様だ。欠落しているのは「技術革新」と「国際化」に関する構想力である。付加価値をもたらす人間の知恵(技術革新)は無限であり、グローバル化の進展は急速だ。周辺国としての東アジア諸国とともに、経済発展をとげることは十分に可能である。困るのはTPPへのためらいに代表される「鎖国思想」である。(遠雷)


    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。
http://www.asahi.com/business/topics/column/TKY201101190523.html



見終わりましたらクリックをお願いします!
     ↓   ↓   ↓
人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


保守派の為のTPP考察 資料記事 ①中野剛志:TPPはトロイの木馬──関税自主権を失った日本は内側から滅びる

今回は遅ればせながら、今議論になっているTPPについて考察してみたいと思います。
ここ一週間ほど時間があったので時事関連の記事を書かせて頂きましたが、このブログはマイペースなので(笑)、というか、自分も今年も忙しく時間が無い為、更新が滞るかもしれませんが
こつこつやっていきたいと思っていますので楽しみにしてる皆様には申し訳ないですがフィードにでも登録して気長に待ってもらえればありがたいです。

今回はTPP考察をする前に引用資料がたくさんあるので何回かに分けてアップしてから考察に入りたいと思いますのでよろしくお願いします。
文章が長く文字数が多いとブログの編集が遅くなるみたいなので(笑)

今回は読んだ方も多いと思いますが、TPP反対派の代表的な方である中野剛志先生のインタビューです。

中野剛志:TPPはトロイの木馬──関税自主権を失った日本は内側から滅びる
TPP反対論を展開する中野剛志氏にインタビューを行いました。10月以降政府・大マスコミが「開国」論を展開する中、中野氏は「日本はすでに開国している」「TPPで輸出は増えない」「TPPは日米貿易だ」と持論を展開してきました。

TPPの問題点はもちろん、今までのメディアの動き、そしてインタビューの後半には、TPP議論の中で発見した新たな人々の動きについても触れていただきました。

*   *   *   *   *
中野剛志氏(京都大学大学院助教)
「TPPはトロイの木馬」

17

TPP問題はひとつのテストだと思います。冷戦崩壊から20年が経ち、世界情勢が変わりました。中国・ロシアが台頭し、領土問題などキナ臭くなっています。米国はリーマンショック以降、消費・輸入で世界経済をひっぱることができなくなり、輸出拡大戦略に転じています。世界不況でEUもガタがきていて、どの国も世界の需要をとりにいこうとしています。1929年以降の世界恐慌と同様に危機の時代になるとどの国も利己的になり、とりわけ先進国は世論の支持が必要なので雇用を守るために必死になります。

このような厳しい時代には、日本のような国にもいろいろな仕掛けが講じられるでしょう。その世界の動きの中で日本人が相手の戦略をどう読み、どう動けるかが重要になります。尖閣、北方領土、そしてTPPがきました。このTPP問題をどう議論するか、日本の戦略性が問われていたのですが、ロクに議論もせずあっという間に賛成で大勢が決してしまいました。

─TPPの問題点は

昨年10月1日の総理所信表明演説の前までTPPなんて誰も聞いたことがありませんでした。それにも関わらず政府が11月のAPECの成果にしようと約1ヶ月間の拙速に進めたことは、戦略性の観点だけでなく、民主主義の観点からも異常でした。その異常性にすら気づかず、朝日新聞から産経新聞、右から左まで一色に染まっていたことは非常に危険な状態です。

TPPの議論はメチャクチャです。経団連会長は「TPPに参加しないと世界の孤児になる」と言っていますが、そもそも日本は本当に鎖国しているのでしょうか。

日本はWTO加盟国でAPECもあり、11の国や地域とFTAを結び、平均関税率は米国や欧州、もちろん韓国よりも低い部類に入ります。これでどうして世界の孤児になるのでしょうか。ではTPPに入る気がない韓国は世界の孤児なのでしょうか。

「保護されている」と言われる農産品はというと、農産品の関税率は鹿野道彦農水相の国会答弁によればEUよりも低いと言われています。計算方法は様々なので一概には言えませんが、突出して高いわけではありません。それどころか日本の食糧自給率の低さ、とりわけ穀物自給率がみじめなほど低いのは日本の農業市場がいかに開放されているかを示すものです。何をもって保護と言っているかわかりません。そんなことを言っていると、本当に「世界の孤児」扱いされます。

「TPPに入ってアジアの成長を取り込む」と言いますが、そこにアジアはほとんどありません。環太平洋というのはただの名前に過ぎません。仮に日本をTPP交渉参加国に入れてGDPのシェアを見てみると、米国が7割、日本が2割強、豪州が5%で残りの7カ国が5%です。これは実質、日米の自由貿易協定(FTA)です。

TPPは"徹底的にパッパラパー"の略かと思えるぐらい議論がメチャクチャです。

16

ニュージーランド、ブルネイ、シンガポール、チリの4加盟国+ベトナム、ペルー、豪州、マレーシア、米国の5参加表明国に日本を加えたGDPグラフ。日本と米国で9割以上を占める。(国連通貨基金(IMF)のHPより作成(2010年10月報告書))

─菅首相は10月当初、TPPをAPECの一つの成果とするべく横浜の地で「開国する」と叫びました

横浜で開国を宣言した菅首相はウィットに富んでいるなと思いました。横浜が幕末に開港したのは日米修好通商条約で、これは治外法権と関税自主権の放棄が記された不平等条約です。その後日本は苦難の道を歩み、日清戦争、日露戦争を戦ってようやく1911年に関税自主権を回復して一流国になりました。中国漁船の船長を解放したのは、日本の法律で外国人を裁けないという治外法権を指します。次にTPPで関税自主権を放棄するつもりであることを各国首脳の前で宣言したのです。

APECでは各国首脳の前で「世界の孤児になる」「鎖国している」と不当に自虐的に自国のイメージをおとしめました。各国は日本が閉鎖的な国だと思うか、思ったフリをするため、普通は自国の開かれたイメージを大切にするものです。開国すると言って得意になっているようですが、外交戦略の初歩も知らないのかなと。すでに戦略的に負けています。

世界中が飢餓状態にある今、世界最大の金融資産国である日本を鵜の目鷹の目で狙っています。太ったカモがネギを背負って環太平洋をまわっているわけで、椿三十郎の台詞にあるように「危なっかしくて見てらんねえ」状態です。

─TPPは実質、日米の自由貿易協定(FTA)とおっしゃいましたが、米国への輸出が拡大することは考えられませんか

残念ながら無理です。米国は貿易赤字を減らすことを国家経済目標にしていて、オバマ大統領は5年間で輸出を2倍に増やすと言っています。米国は輸出倍増戦略の一環としてTPPを仕掛けており、輸出をすることはあっても輸入を増やすつもりはありません。これは米国の陰謀でも何でもないのです。

オバマ大統領のいくつかの発言(※1)を紹介します。11月13日の横浜での演説で輸出倍増戦略を進めていることを説明した上で、「...それが今週アジアを訪れた大きな部分だ。この地域で輸出を増やすことに米国は大きな機会を見いだしている」と発言しています。この地域というのはアジアを指しており、TPPのGDPシェアで見れば日本を指しています。そして「国外に10億ドル輸出する度に、国内に5,000人の職が維持される」と、自国(米国)の雇用を守るためにアジア、実質的に日本に輸出するとおっしゃっています。

米国の失業率は10%近くあり、オバマ政権はレームタッグ状態です。だからオバマ大統領はどこに行っても米国の選挙民に向けて発言せざるを得ません。

「巨額の貿易黒字がある国は輸出への不健全な異存をやめ、内需拡大策をとるべきだ」とも言っています。巨額の貿易黒字がある国というのは、中国もですけど日本も指しています。そして「いかなる国も米国に輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」と続けています。TPPでの日本の輸出先は米国しかなく、米国の輸出先は日本しかない、米国は輸出は増やすけれど輸入はしたくないと言っています。

米国と日本の両国が関税を引き下げたら、自由貿易の結果、日本は米国への輸出を増やせるかもしれないというのは大間違いです。米国の主要品目の関税率はトラックは25%ですが、乗用車は2.5%、ベアリングが9%とトラック以外はそれほど高くありません。日米FTAと言ってもあまり魅力がありません。

─中国と韓国がTPPに参加するという話が一部でありました

中国は米国との間で人民元問題を抱えています。為替操作国として名指しで批判されています。為替を操作するということは貿易自由化以前の話ですから、中国はおそらく入りません。韓国はというと、調整交渉の余地がある二国間の米韓FTAを選択しています。なぜTPPではなくFTAを選んだかというと、TPPの方が過激な自由貿易である上に、加盟国を見ると工業製品輸出国がなく、農業製品をはじめとする一次産品輸出国、低賃金労働輸出国ばかりです。韓国はTPPに参加しても利害関係が一致する国がなく、不利になるから米韓FTAを選んでいるのです

日本は米国とFTAすら結べていないのに、もっとハードルが高く不利な条件でTPPという自由貿易を結ぼうとしています。戦略性の無さが恐ろしいです。

<関税はただのフェイント 世界は通貨戦争>

米国は輸出倍増戦略をするためにドル安を志向しています。世界はグローバル化して企業は立地を自由に選べるので、輸入関税が邪魔であればその国に立地することもできます。現に日本の自動車メーカーは米国での新車販売台数の66%が現地生産で、8割の会社もあります。もはや関税は関係ありません。それに加えて米国は日本の国際競争力を減らしたり、日本企業の米国での現地生産を増やしたりする手段としてドル安を志向します。ドル安をやらないと輸出倍増戦略はできません。

日米間で関税を引き下げた後、ドル安に持って行くことで米国は日本企業にまったく雇用を奪われることがなくなります。他方、ドル安で競争力が増した米国の農産品が日本に襲いかかります。日本の農業は関税が嫌だからといって外国に立地はできず、一網打尽にされるでしょう。グローバルな世界で関税は自国を守る手段ではありません。通貨なんです。

─関税の考え方をかえる必要がありそうです

米国の関税は自国を守るためのディフェンスではなく、日本の農業関税という固いディフェンスを突破するためのフェイントです。彼らはフェイントなどの手段をとれるから日本をTPPに巻き込もうとしているということです。

─農業構造改革を進めれば自由化の影響を乗り越えられるという意見はどう思いますか

みなさんはTPPに入れば製造業は得して農業が損をすると思っているため、農業対策をすればTPPに入れると思うようになります。農業も効率性を上げればTPPに参加しても米国と競争して生き残れる、生き残れないのであれば企業努力が足りない、だから農業構造改革を進めよと言われます。

それは根本的に間違いだと思います。関税が100%撤廃されれば日本の農業は勝てません。関税の下駄がはずれ、米国の大規模生産的農業と戦わざるを得なくなったところでドル安が追い打ちをかけます。さらに米国は不景気でデフレしかかっており、賃金が下がっていて競争力が増しています。関税撤廃、大規模農業の効率性、ドル安、賃金下落という4つの要素を乗り越えられる農業構造改革が思いつく頭脳があるなら、関税があっても韓国に勝てる製造業を考えろと言いたいです。

自由貿易は常に良いものとは限りません。経済が効率化して安い製品が輸入されて消費者が利益を得ることは、全員が認めます。しかし安い製品が入ってきて物価が下がることは、デフレの状況においては不幸なことなのです。デフレというものは経済政策担当者にとって、経済運営上もっともかかってはいけない病だというのが戦後のコンセンサスです。物価が下がって困っている現状で、安い製品が輸入されてくるとデフレが加速します。安い製品が増えて物価が下落して影響を受けるのは農業だけではありません。デフレである日本がデフレによってさらに悪化させられるというのがこのTPP、自由貿易の問題です。

農業構造改革を進めて効率性があがった日には、日本の農家も安い農産物を出荷してしまうことになり、さらにデフレが悪化します。デフレが問題だということを理解していれば、構造改革を進めればいいなんて議論は出てきません。

こういう議論をすると「農業はこのままでいいのか」ということを言い出す人がいます。しかし、デフレの時はデフレの脱却が先なのです。インフレ気味になり、食料の価格が上がるのは嫌なので農業構造改革をするということはアリだと思います。日本は10年以上もデフレです。デフレを脱却することが先に来なければ農業構造改革は手をつけられません。

例えばタクシー業界が競争原理といって規制緩和の構造改革をしました。デフレなのに。その結果、供給過剰でタクシーでは暮らせない人が増えて悲惨なことになりました。今回は同じ事が起ころうとしています。

─TPP参加のメリットを少しだけ...

デメリットは山ほどありますが、メリットはないんです。

米国が輸出を伸ばし日本が輸入を増やして貿易不均衡を直すこと自体は、賛成です。ところが、関税を引き下げて輸入をすると物価が下がるので、日本はデフレが悪化します。経済が縮小するので、結局輸入は増えません。農産品が増えれば米国の農業はハッピーですが、トータルで輸入は増えません。

本当は日本がデフレを脱却して経済を成長させれば、日本の関税は低いんだから輸入が増えるんです。実際に米国はそれをしてほしかったのです。ガイトナー財務長官は昨年6月、日本に内需拡大してくれという書簡を送りました。ところが日本は財政危機が心配だと言って財政出動をしないので、内需拡大をしようとせずに輸出を拡大しようとするので、米国は待ち切れずにTPPに戦略を変えたのでしょう。米国は「とりあえずTPPを進めれば農業は儲かるからいいや」となったのでしょう。

デフレを脱却し、内需を拡大し、経済を成長させれば、関税を引き下げることなく輸入を増やすことができます。環太平洋やアジアの地域は、例えば韓国がGDPの5割以上、中国も3割以上が輸出に頼っており、シンガポールやマレーシアに至ってはGDPよりも輸出が多いです。つまり輸出依存度が高く、その輸出先となっていた米国が輸入したくないと言っているので環太平洋・アジアの国々は困っていることと思います。

今、東アジアが調子が良いのは、資金が流入してバブルになっているからで、本当はヤバイ状況です。環太平洋の国々は経済不況に陥った米国やEUに代わる輸出先を探しています。日本は世界第2位のGDPがあり、GDPにおける輸出の比率は2割以下という内需大国です。その日本が内需を拡大して不況を脱し、名目GDP3%程度の普通の経済成長をしたとすれば、環太平洋の国々は欧米で失った市場の代わりを日本に求めることができるので、本当の環太平洋経済連携ができます。これなら、どの国も不幸になりません。

─あえてTPPを推進する狙いをあげれば、TPP事態は損だとしても今後FTAやEPAなど二国間貿易を進めるきっかけにしたいということなのでしょうか

それも無理筋ですね。自由貿易を進めている国として韓国をあげ、日本はFTAで韓国に遅れをとっているという論調があります。しかしFTAは、一つ一つ戦略的に見ていくべきもので、数で勝ち負けを判断すべきではありません。韓国はGDPの5割以上が輸出で得ており、自由貿易を進めなければ生きていけません。韓国人はやる気があるとか、外を向いているとかいった精神論ではありません。しかし、自由貿易は格差を拡大するものであり、それが進んでしまったのが韓国なのです。

韓国がなぜ競争力があがったかのでしょうか。韓国はこの4年間で円に対するウォンの価値が約半分になっている。韓国の競争力が増したことはウォン安で十分説明できます。日本がTPPで関税を引き下げてもらったとしても、韓国のウォンが10%下がれば同じ事ですし、逆にウォンが上がれば関税があっても十分戦えます。

グローバル化の世界は関税じゃなく通貨だということがここでも言えます。なんで全部農業にツケをまわすんだと言いたいです。とっちにしたって世界不況ですから海外でモノは売れませんよ。失業率が10%の米国で何を売るんですか。

<TPP議論の女性の反応>

─中野さんがおっしゃるような問題点が出されないままに大マスコミが一斉に推進論を展開し、有識者も賛成論がほとんどでした

外国から見ればこんなにカモにしやすい相手はいません。環太平洋パートナーシップ、自由貿易、世界平和など美しいフレーズをつければ日本人はイチコロなんです。

なぜこんなにTPPが盛り上がってしまうのでしょうか。TPPは安全保障のためだという人がいますが、根本的な間違いです。まずTPPは過激な自由貿易協定に過ぎません。軍事協定とは何の関係もありません。

米国はかつての黒船のように武力をちらつかせたり、TPPに入らなければ日米安全保障条約を破棄するなどと言ったりしていません。日米同盟には固有の軍事戦略上の意義があり、経済的な利益のために利用するためのものではありません。さすがに米国でもTPPで農産物の輸出を増やしたいので、その見返りに日本を命をかけて守れと自国の軍隊を説得できませんよ。TPPを蹴ったから日本の領土が危なくなるなんてことはありません。

それにも関わらず日本が勝手にそう思い込んでいるのです。尖閣や北方領土の問題を抱え、軍事力強化は嫌だなと思っているときにTPPが浮かび上がってきて、まさに「溺れる者は藁をもつかむ」ようにTPPにしがみつきました。でもこれにしがみついたって何の関係もないです。もし米国が日米同盟を重視していないのであれば、TPPに入ったって日本を守ってくれません。

その中で無理に理屈をつけようとするから、アジアの成長だの農業構造改革だのと後知恵でくっつけるからきわめて苦しくなるのです。TPP参加論は、単なる強迫観念です。

─推進派が根拠にしているのは経産省が算出したデータです(※2)。どこまで信用できるものなのでしょうか

経産省はTPPに入らなければ10兆円損をするというデータを発表しました。その計算方法は、日本がTPPに入らず、EU、中国とFTAを締結せず、韓国が米国、韓国、EUとFTAを結び発効した場合は10兆円の差が出るというものです。

なぜ中国とEUを入れているのでしょうか。おそらくTPPに加盟しても本当は経済効果がないことがわかったからでしょう。反対派の農水省と賛成派の経産省は数の大きさで争っているので、試算自体に水増しがあります。もっと言えば、なぜTPPとFTAが混ざった試算をするのかが疑問です。日本がTPPで韓国がFTAと試算していることを見れば、韓国がTPPに興味がないことを政府が知っていることがわかります。こんな不自然な試算を見ていると、TPP参加の理屈をつけるのはさぞかし大変だっただろうなと同情したくなります。

─理屈が通らずに「平成の開国」というフレーズに飛びついた

「黒船の外圧でも、幕末・明治は変にナショナリスティックにならなかったからうまくいき、戦後はGHQによって屈辱的に占領されたものの日米安保を結び平和になり経済が繁栄した」ということをみんなが思っているから、今回も「開国」と聞いた瞬間に飛びついたのではないでしょうか。それまでは尖閣の問題できわめて「攘夷」の雰囲気がありましたから「開国」のフレーズに心理が動いたのでしょう。

しっかりと考えて欲しいのは、幕末・明治の開国がそのイメージと違うことです。富国強兵をして戦争に進み、関税自主権の回復を目指した、つまり開国した後の日本は独立国家になるために戦い抜いた歴史があるんです。それ以前に開国したのは江戸幕府であり、外圧になすすべなく国を開いた幕府の方が倒されたんだよ、と。そこからしてもう歴史観が間違っているんです。

─TPPの議論は「思考の停止」が起きているように見えました

110114_5-thumb-250x166-2635.jpg

議論が複雑でやっかいかもしれませんが、せめてGDP比を見て「TPPは日米貿易に過ぎない」とか、米国が輸出拡大戦略をとろうとして輸入しないようにしているということぐらい知ってもらわないと、戦略を立てようがありません。推進派の人たちが国を開けとか、外を向けとか言っていますが、本当に外を向けば、TPPでは何のメリットもないことがわかるんです。そういう意味では推進派の頭の方が鎖国しています。

この程度の議論は、私みたいな若輩者が言わなくても、偉い先生が言うべきなのに誰も声を上げません、もはや民主主義国家じゃないですよ。

─「反対」はもちろん「わからない」と言いづらい雰囲気がありました

一般の人の方が正常な感覚を持っていたのですが、偉い先生が賛成しているから反対する自信がなかったんだと思います。それこそ下級武士が目を覚ませということで、それにかけるしかない状況です。

私は今回のTPPを見ていて女性の反応に驚きました。男どもが開国ごっこ、龍馬ごっこをやっていて、その安っぽいロマンチシズムのせいで自分たちの大事なものが奪われるかもしれないと不安に思っているのでしょうか。

「明治の開国は関税自主権の回復であり今回はそれを放棄しようとしている」と言うと、多くの女性がまさにその通りと言ってくださいました。女性の方が戦略性というものには敏感なんでしょう。

─日本史を教えている高校教師が「幕末・明治の開国を教えるときは、1911年・小村寿太郎をセットにして教えるほど関税自主権は基本的で大事なこと」と言いました。関税をゼロにするという話に飛びついた政府やマスコミは歴史に何を学んでいるのか疑いたくなります

幕末の開国はペリーが武力で迫ったものですが、今回はそんなことはありません。世界第2位のGDPがあり、何度も言っているようにすでに開国しています。なぜ自爆しようとするのでしょうか。こんな平成の開国の歴史を、僕らの子どもや孫にどうやって教えますか。雰囲気で決めるようなこの時代を、将来、歴史の教科書でどう教えるのですか。

─私は欧米に輸出している液晶モニターメーカーの営業経験がありますが、社員の関税に対するイメージが悪かった思い出があります。EUが関税を引き上げる度に域内の製品価格が上がり売上やマーケットに直結するため非常にセンシティブになります。関税に対するイメージの悪さが、関税撤廃を後押しする雰囲気につながっていることはありませんか

あるかもしれませんね。EUは関税が高いし、戦略的に関税をつかっていますし、そもそもEUはそのための関税同盟です。でも思いだして欲しいのは、TPPはEUと関係ないんです。日本はEUとFTAを進めたいけどフラれています。それはEUにとって得にならないからです。どの国もひとつひとつ損得を考えて進めているんです。

<迫り来る食糧危機と水不足>

─結局TPPで困る人は?

国民全体です。農業界だけじゃありません。あるいは日本でデフレが進行すれば日本が輸入しなくなり、世界全体も困ります。

心配なのは食料価格の上昇です。世界各国がお金をジャブジャブに供給していて、お金の使い道がないから金や原油の価格が上がっています。食料価格は豪州は洪水と干ばつなどの影響ですでに上昇しており、投機目的でお金が流れてくるとさらに上がることが予想されます。

─TPPの問題は家庭の食卓にも迫ってくるわけですね

1970年代の石油危機がありましたよね。石油の問題はみなさん心配されますが、石油よりも危険なのは食料です。中東の石油は生産量のほとんどを輸出用に回していて、外国に買ってもらわないと経済が成り立たないため、売る側の立場は意外と弱いものです。ところが穀物の場合は、輸出は国内供給のための調整弁でしかなく、不作になれば売らないと言われかねません。

穀物はまず国内を食わせて余剰分を輸出します。当然不作になれば輸出用を減らして国内へまわすものです。もともと農業は天候に左右されるため量と価格が変動しやすく、特に輸出用は調整弁なので変動が大きいのです。変動リスクが大きいから、穀物の国際先物市場が発達したのです。

日本のトウモロコシはほぼ100%米国に依存しているので、僕らは米国の調整弁になっているということです。不作になったら安く売ってもらえなくなります。そのトウモロコシの大生産地である中西部のコーンベルトで起こっていることが、レスター・ブラウンが警告する地下水位の下落です。水不足の問題です。

米国は水不足がわかっているから、ダムのかさ上げ工事を始めています。例えばサンディエゴ市に水を供給するダムは、将来の水不足に備えて市民の1年分の水が追加的に貯められるようになる計画が進められています。米国のフーバーダムひとつで、日本の約2,700のダムの合計貯水量を上回ります。ところが日本は「ダムはムダ」とか言っています。世界が水不足になる中で、日本の水源地はどんどん買われていると聞きます。本当におめでたい国です。

このようにして国は外からでなく内側から滅びるんです。カルタゴを始め、歴史上別に滅びなくてもいいような国がバカをやって滅んでいきました。日本もそういうサイクルに入ったということかもしれませんね。

欧州では「トロイの木馬」の教訓があります。それは「外国からの贈り物には気をつけよう」という言い伝えです。外国から贈り物を受け取るときはまず警戒するものですが、日本はTPPという関税障壁を崩すための「トロイの木馬」を嬉々として受け入れようとしているのです。

<TPP問題の側面にある世代抗争>

こんな状況が広がっている中で、TPP推進派が「日本には戦略が必要だ」と言いながら米国に依存しようとしています。

米国の庇護の下で経済的な豊かさだけを追って、何をしても成功し、ちょっとバカをしても大した損はしなかった世代の人々が90年代以降に企業や政府のトップになり、それ以降日本のGDPが伸びなくなりました。この世代の人たちが「日本の改革のためには外圧が必要だ」「閉塞感を突破するためには刺激が必要だ」という不用意な判断をするので、ものすごい被害を及ぼすことになるのです。

例えば日本は13年連続3万人の自殺者がいます。その前までは、日本は先進国の中でも自殺率が低い国として有名でした。バカなことをすると一気に転げ落ちてしまうんだという真剣さに欠けている人たちが、今の日本を牛耳っているんです。「最近の若者は元気がない」と言う人たちが元気だったのは、彼らが若いころはバブルだったからです。愛読書は「坂の上の雲」と「竜馬が行く」のこの世代は、「開国」と聞くと条件反射的に興奮するようです。

19

先日朝日新聞社から団塊の世代の方がインタビューに来た時に、彼らの世代の口癖を指摘しました。このままでは日本が危ないという話をすると必ず「そんなことでは日本は壊れない」という口癖です。しかし、日本はもうすでに壊れているんです。政界はもちろん、私も含めた官僚、財界そして知識人は、毎年3万人の自殺者の霊がとりついていると思うぐらいの責任感をもって、もっと真剣に国の行く末を考えないといけません。

私は1996年に社会人になり、以来、一度も名目GDPの成長を経験していません。私より下の世代はもっとひどい。この世代は「いい加減にしろ」という気持ちになっているのでしょうけど、へたっている上、少子高齢化で上の世代が多すぎて声が出ないんです。でも「最近の若者は元気がない」などと偉そうに言わせてる場合じゃないんです。

今回は地べたを耕している農家、ドブイタ選挙をやっている政治家、女性、この人たちの「危ない!」と思った直感を大切にしなければいけません。全体が賛成派の中で黙っていた人、発言の機会さえ与えられていない人、真剣に生きている人たちに声を上げてもらいたいと思います。(了)

※インタビューの内容は中野氏個人の見解です。

2011年1月14日《THE JOURNAL》編集部取材&撮影


次回に続きます

読み終わったらクリックをお願いします!
     ↓   ↓   ↓
人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村